「遺伝子組み換え食品」を意識したことはありますか?
遺伝子組み換えは英語でGMO(Genetically modified organism)といいます。
オーガニック系のお菓子なんかにもNon GMOと書かれたものがマレーシアでもよく目にします(・ω・)ノ
結論から言ってしまうと、遺伝子組み換え作物について
マレーシア国内では生産していませんが、輸入は許可されています。
この姿勢は日本と同じと言えます。
今回はGMO、いわゆる遺伝子組み換え食品とは何かを簡単に説明しつつ、
マレーシアでの遺伝子組み換え食品の表記方法について述べていきます。
Contents
遺伝子組み換え作物とは
遺伝子組み換え作物は、遺伝子を人工的に改変した作物のことを指します。
品種改良との違い
昔ながらの品種改良は同じ種同士を掛け合わせて新しい特徴を持つ、もしくは良い特徴を持った遺伝子を増やしていくための技術です。
それに対し遺伝子組み換えは、人工的に生物の遺伝子を取り替えてしまいます。
例えば品種改良は日本人とイギリス人が結婚して遺伝子を残すようなもの、
遺伝子組み換えは日本人の遺伝子に猫の遺伝子を組み込むようなものです。
一般的にはトウモロコシや大豆、なたね、綿などで遺伝子組み換え作物が多く流通しています。
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遺伝子組み換えの目的
そもそもなぜ遺伝子を人工的に改変する必要があるでしょうか。
遺伝子組み換えには大きく2つの目的があります。
1つ目は除草剤に耐性を持たせるため。
作物に除草剤への耐性があれば、除草剤をかけると周りの雑草のみを死滅させ、目的の作物のみを栽培することができます。
2つ目は作物を食べる害虫を殺すため。
その作物を食べた害虫は死んでしまうように遺伝子を操作することで、殺虫剤を減らせると言われています。
遺伝子組み換え作物の問題点
人体への健康被害の疑い
遺伝子組み換えという技術自体、人体への影響は研究でははっきりと明らかにされていませんが、悪影響があると疑われています。
ラットを使った実験では以下のようにラットの体に腫瘍ができるとされています。
引用元: https://www.motherjones.com/food/2012/09/gmo-corn-rat-tumor/
左が除草剤を使用せずに遺伝子組み換えコーンを与えられたラット、
真ん中が除草剤をかけて育てた遺伝子組み換えコーンを与えられたラット、
右が除草剤を混ぜた水で育てた遺伝子組み換えでないコーンを与えられたラットです。
遺伝子組み換えコーンだけでも、遺伝子組み換えでないコーンで除草剤を使った場合でも腫瘍ができている様子がわかります。
しかしこの研究結果は研究としては不十分に人体への影響を証明できないと言われています。
また、フィリピンでは遺伝子組み換えコーンを食べた水牛が死んだというケース、水牛の子どもが未熟なまま生まれたり早死にするといったケースも報告されています。
土壌汚染、地下水汚染
栽培面で見ると遺伝子組み換え作物によって一時的には除草剤、殺虫剤といった農薬を減らすことはできます。
しかし、その農薬や遺伝子組換え作物への耐性を身につけた植物や虫が現れ、結局のところ、使う農薬の量が再び増えていくのです。
使用される農薬が増えると環境汚染が進みます。
土壌中の有用な有機物が破壊され、土が痩せて石だらけに。
地下水は農薬で汚染されて川や海の生物が死に、飲み水も汚染されていきます。
人間の体や健康にも危険が及んでいくのです。
地域への悪影響
遺伝子組み換え作物の花粉や種が飛ぶことで遺伝子組み換え作物を栽培していない農家の栽培作物が交配され、有機認証が取り下げられてしまうという被害も出ています。
遺伝子組み換えでない本来の種子を保存しておかなければ、地域経済から遺伝子組み換えでない作物が消滅してしまいます。
マレーシアの遺伝子組み換え表示
マレーシアでは以下の食品に遺伝子組み換え作物が使用されていても表示義務がないとされています。
- 原材料表示の4つ目以降のもの
- 遺伝子組み換えの原料が食品の3%以内
- 精製油、植物油、水飴、砂糖、コーンシロップ、はちみつ、そしてデキストリンといった高度に精製された食品
- 最終生産物に含まれない加工時の補助物質および食品添加物
- ピクルスや酢といった酸味料
- 醤油などの塩分食品
- 遺伝子組み換え飼料で育った動物の食品(食肉、ミルク、卵など)
- 最終生産物に含まれない遺伝子組み換え微生物によって発酵された食品
- チーズやアミラーゼで作られたパンなど遺伝子組み換え酵素で生産された食品
補足として、動物の遺伝子やアレルギーを引き起こす原材料から組み替えられた遺伝子組み換え作物については、その遺伝子の由来を表示する必要があるとされています。
遺伝子組み換えの原料が食品の3%以内とありますが、日本は5%です。
若干日本より厳しめですね。
それ以外は日本もマレーシアとほとんど同じ表示義務があると言えます。
遺伝子組み換え食品を避けるための対策
遺伝子組み換え食品が怖いから栽培も輸入もしていない国に移住しよう!と簡単に行動できたらいいのですが、そういうわけにもいかないのが現実だと思います。
では、遺伝子組み換え食品をなるべく避けるためにはどうしたらいいでしょうか?
食品添加物の入った加工食品をなるべく避ける
気をつけるべきは遺伝子組み換え表示義務のない食品添加物。
食品添加物の中にはトウモロコシや大豆の成分を抽出したものもあります。
例えば下のような食品添加物は遺伝子組み換えの可能性があります。
- corn syrup = コーンシロップ
- saccharide = 糖類
- sugar syrup = 液糖
- Glucose = ブドウ糖
- fructose = 果糖
- fructose glucose syrup = 果糖ブドウ糖液糖
- high-fructose corn syrup = 異性化糖
- glucose syrup, boiled sweet = 水飴
- dextrin = デキストリン
- beet sugar = てんさい糖
- cornflakes, cereal = コーンフレーク
- starch = デンプン
- corn startch = コーンスターチ
- soybean protein = 大豆たんぱく
- emulsifier = 乳化剤
- lecithin = レシチン
- protein hydrolyzate = たんぱく加水分解物
- Colouring(e150b) = カラメル色素
畜産農家、養鶏農家を知る
私たちが飲むミルクや卵、肉といった家畜によって生み出される食材は、
「遺伝子組み換え飼料を使用していません」と表示されているものを買いましょう。
とは言え、マーケットで売られている卵や肉にはそうした表示がほぼありません。
だからこそ、私たちが日常消費している卵やミルク、食肉が安全かどうか見極めるためにも、農家を知ることがとても重要なのです。
私の案内するマレーシア農場ツアーでは
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